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仕事で年に何回かデンマークに出かけます。あちらにはお仕事で知り合った人しかいないのですが、その中でもなんとなく気が合う人が何人かいて、時間が合えば夕食を一緒に取ったりします(もちろん、同じ時間を過ごしていることが嫌になるほど気が合わない人もいます・・・)。何度かは彼らの奥様も交えて一緒に食事をします。彼らの奥様を含め、デンマークで仕事をしていない女性に会ったことがない。時短で働くというより、がっつり仕事をしている印象。子供もたくさんいる家庭が多い。そういう方々と出会うといつも聞きたくなるんですね「どうやって時間をやりくりしているの」。
大から少なかれ、子供をもちながら仕事をしている親、なんとなく罪悪感を持っていると思うんです、子供に対して。「もっと子供に時間を使ってあげるべきだ。でも、経済活動もしないといけないし」的な。保育園に預けている間も「本来なら自分がみてあげないといけないのに、人様にお願いしたりして」とか、他にも色々、罪悪感というジレンマに苛まれながら、経済活動、そして子育をしていると思うんです。デンマークも同じなはず。
1940年代後半、男性は外で仕事、そして女性は家庭。これ、デンマークでも同じです。あの頃に出版された雑誌にある家具業界の広告を見ればすぐに分かります。キッチンで笑顔で食事の支度をする女性、1人掛のイージーチェアの上で新聞を読む男性、ソファからテレビを見る子供達。そんな広告表現、この日本でも、もうありませんし、デンマークでもそのスタイルは相当過去のものとして捉えられている感じです。もう女性が「家庭の主婦」という感覚はあの国ではまるでない。1960年代、第二次世界大戦が終わり、世界中で物資が足りなくなっていた時代、そしてそれぞれの国がどんどん紙幣を刷っていた時代、世界の景気は爆発的によかった。日本も例外ではなく、「高度成長期」と呼ばれていた時代です。この頃、日本では仕事に出ていた男性がそれまでより長く働くことで好景気を支える労働力としてがんばった。デンマーク、どうして日本とは違う動きとなったかはよく知りませんが、労働力不足をその頃家庭にいた女性の社会進出でカバーしようとした。これがうまく行きました。
デンマークでご飯を食べている時、僕がいつも気になってよく持ち出す話題です。僕がよくご飯を食べる男性は40代後半から50代半ば。彼らの母親はどうだったか。彼らのお母さん世代、感覚的ですが半分くらいは専業主婦な感じ。学校から帰ると、いつも母親がおうちで待っていたという男性、多くいます。
僕らは親を見て育ちます。親と疎遠の場合には身近な大人を見て育ちます。その大人たちが守っていたジェンダールールって、なんとなく染み付いていたりして、抜こうと努力してもなかなか抜けないんじゃないかと思うんです。デンマークの男性の中にも、「おいおい、僕は君は家庭に入ってくれると思っていたのに」と結婚後に喧嘩している人いると思うんです。実際にしている人もいるもしれません。ただ、もしそんなことが原因で喧嘩していると周りの人にバレたら恥ずかしてく仕方ない、そんふ雰囲気、デンマークには充満してます。彼らと話す時、いつも感心するのは「諦める力」。「諦める」と書くと聞こえはよくないかもしれませんが、いい意味での諦めという意味です。「僕のママはうちにいて仕事をしていなかったけど、時代が違うしさ」っと、前例をスパッと諦めること。前例にとらわれず、社会に順応していく性は、僕は勝手に、昔、デンマーク人が海に出て、ヨーロッパの各地で大暴れしつつも、流れ着いた各地でその地の土着の文化に順応しながら生きていった、あの彼ら彼女らの歴史とタブルんです。人口も少ない、土地も小さい、寒い、でも大陸と繋がっているから文化/経済交流は盛になる。順応力の高さ、僕たち島にずっと住んでる者とでは比べものにならない。そんな風なことを思い、いつもご飯を食べています。
そんな順応力は家具作りにも生かされていると思ってます。今では作り方、材料の調達など、世界基準というものの下で行われていますが、僕らが販売するヴィンテージ家具が作られていた50年代、性として持つ順応力はそのままで、お隣のドイツから始まったバウハウスの流れに順応しつつ、その頃手に入るだけの限られた機械を使い、慣れひたしんだ木工技術をモダンスタイルに順応させて行った経緯が家具を見てるとよく分かります。
使う材。この1人掛のソファとオットマンの脚部分に使われているローズウッド。南洋材で、デンマークでは絶対採れない材。それを簡単に取り入れる感じ、順応性だと思います。フィンランドを見て下さい。もちろん、腐る程の木があってそれを使わないと経済が回らないという理由はあったのだとは多いますが、Artekのアアルトが使った材はフィンランド産の「バーチ材」。しかもアアルトは「絶対にバーチ材を使うんだ!」と最初から国内にある材を使うと決めて家具をデザインした。デンマークにある材、オーク材/ビーチ材。あの国の人、全くに気にしない。最初から「デンマーク国産の材を使うんだ!」なんて気持ちはまるでない。「ローズウッド、木目いいね! 使っちゃおうよー」。国産材を使うことよりも周りに順応していくことの方が大切、そんな感じがこのセットを見ていると感じます。
椅子の形についても、順応性が高いデンマークの人がデザインしたのだから、色々な要素が入ってる。「モダンでありながらクラシックな雰囲気」。椅子はもともと上流階級のものだから、寝て使うベットが起源。そのベットだと起きた時に背もたれがないと身体がつらいので、背もたれが付いた。背もたれがつくと手の行き場に困る。「だったら、アームを付けよう」となった。で、アームをつけると、今度はカチッとしすぎて、安楽できない。「足置きをつけて、背もたれ付きベットのように」。で、オットマンが付けられた。こんなソファの進化はデンマークでは起こっていません。その他の国で起こっています。その進化形のソファ+オットマンを得意の順応性を駆使しバウハウスの流れを汲みとりながら、コーア・クリントの推奨する「人間工学」的な学問でデンマーク的に解釈してできたモダン家具が1950年代のデンマークの家具であり、そのことをたっぷり感じられるこのソファとオットマンのセットです。
小さくコンパクトにデザインされたこのセットは現代のミニマリズムを体現させた形であり、余計なものが一切ないモダンの中のモダンのような形。背あたり、お尻あたりは適度なクッションでサポートされているので見た目の印象よりも柔らかい座り心地。デザイナーは誰だか分かりません、作ったメーカーもどこだか分かりません。機械加工が限られていたあの時代、見えない内部構造でもきっちりと作り込むしかなかった。これはあの当時のほとんどのデンマークメーカーに当てはまります。その通りで、このソファ、オットマンの内部構造は相当立派なもの。張地は本革だったものを、さらにいい本革へと張り替えました。
もうこの時代、お父さんがどっかりとリビングで寛ぐ椅子は批判を浴びるかもしれません。お父さん、そしてお母さんも是非一緒に使って下さい。この椅子が作られた50年代/60年代に訪れたデンマークの社会構造の変化は、もしかしたら今この日本で起ころうとしていることかもしれません。そんな変化に軽く順応していく術をその時代をデンマークの家庭で過ごしたこのセットの上で考えてみるのいいのかもしれません。是非、ご検討下さい。
サイズ | (1Pソファ)W680 x D810 x H745 x SH440 mm |(オットマン)W615 x D425 x H405 mm |
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デザイナー | Unknown |
買い付け場所 | デンマーク |
材 | ローズウッド材 |
製造会社 | Unknown |
オリジナル/現行 | オリジナル(ヴィンテージ品、張替済) |
張地 | 黒色本革(天然シボ) |
送料
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実際の商品との差異
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