
研修第4日目 「まさに『Green House』!」
この日は移動があるため午前中のみの研修で、本社研修の最終日でした。
最後に見せて頂いたのはGreen Houseという、オフィス系のプロダクトを製造している工場でした。
Green Houseは昨日見学させて頂いたクラシック系の工場とは正反対の雰囲気で、非常にシステマチックに管理され、スピード感が溢れていました。残念ながら工場内は写真撮影NGだったため、お見せする写真はありません。
Green Houseの工場では、日本のトヨタの工場のシステムを参考にしたという事です。ただ、窓が大きく太陽光がとても入って来るので日本の工場のイメージとはだいぶ違います。
ホワイトボードに「YAMAZUMI」と書かれたグラフはそのトヨタ方式の一つで、その日の完成ノルマ数に合わせて、一台のプロダクトを完成させるのにどのタスクを何秒で終えなければならないのかを棒グラフで表したものです。
わずか数メートルの一本のラインで組み立て始めから完成までが完結し、完成された製品は作り置きせずカスタマーのもとへ直ちに出荷されます。まるで生ものを扱っているかのようでした。
この日、セイルチェアは1台80秒、そしてアーロンチェアは脅威の1台17秒で完成されていました。ただ、やはり人間工学のハーマンミラー。作業員の人がどのくらい作業を続けると体の機能に悪い影響が出るのかというのは研究されていて、どんなに繁忙期でもそれ以上のノルマは与えないようにしているとの事です。
工場の残り半分のスペースは部品を保管、管理しておく場所で、ここに置かれた部品は1時間以内に製造へ回されると言います。
工場内ではスポーツウェアを着た従業員が今時の音楽を流しながらキビキビと仕事をしていました。
工場の外は1本の廊下を挟んでオフィススペースがあり、廊下にはハーマンミラー特有の紙粘土のフィギュアが点々と置かれていました。ちょっとした事かもしれないけれど、そういう所に働いている人が楽しんで仕事をしているというのが表れるんじゃないかと思います。
工場を見学した後、最後にHealth Careという、従業員の健康管理を行ういわばナースステーションに案内されました。病室にもハーマンミラーの家具が使われており、贅沢な空間でした。
この時、ドクターの座る席にはなぜかゴリラのぬいぐるみが。本当に最後まで楽しませてくれます。
本社を出発する際、お土産にハーマンミラー特製のハチミツを頂きました。このハチミツには特別なエピソードがあるってご存知ですか?
ここGreen Houseは29万5,000平方フィートという広大な敷地を持っており、その中にある湿原は鳥や動物の生息地となっています。こうした緑化空間は暴風雨等で出た汚水を浄化する機能も持ち合わせています。
ところが2000年の春、Green House敷地内にスズメバチが巣を作ると、それまであった美しい花々は枯れて行ってしまったそうです。
職員たちは頭を悩ませました。なぜならハーマンミラーには会社敷地内で「殺虫剤を使ってはいけない」という厳格なルールがあったからです。
そこで職員が考えた解決策は「Green Houseの敷地内にミツバチの巣箱を設置する」という事でした。かくしてこのミツバチは見事スズメバチを追い払い、敷地内の花々も元通りに復活したという事です。
もしかしたら、「ミツバチを飼う」っていう所まではどこか他の企業でも出来るかも知れません。ですが、13年経った今でも続けて飼育しているって普通できない事じゃないかと思うのです。
しかもそのミツバチから採れたハチミツをお客さんにプレゼントし続けているなんて。環境を大切にしていると唱うハーマンミラーは、その名に恥じない行動を続けているという事をここからも垣間見る事が出来ました。
