工場見学のわけ

はっきり言いますと、代表の方の中に「この販売店小さいから」と少しでも思っていると、不思議ですが、何故だか態度や言葉に表れます。まず、メーカーの中には代表に会わせてもらえないところもあります。そんなメーカーとは一切お取り引きをしません。
家具メーカーにしてみれば、私達は数限りなくある販売店の、しかもその中でもかなり小さい部類に入る一つでしかありません。商売的には私達とお取り引きをしなくても、全く大丈夫なのです。ですが、多くのブランドを扱わない私達にとってメーカーとは唯一の存在です。立場上は違えど、一人一人のお客様へいい家具を提供するという目的は同じであるはずです。もし、メーカーが取扱高だけで販売店を差別するなら、そのメーカー、実はお客様に対しても「沢山買って頂いたお客様が優先」というあってはならない考え方を持っていると推測できます。
1円のものを買って頂いても、100万円のものを買って頂いて、そのものに対する思いが同じなら、お値段なんて関係ないと思いますし、買って頂いたお値段でお客様を差別するなんてあってはならないことです。
現場に行くとだいたいその雰囲気でわかります、コンフォートマートと上手くやっていけるかどうか。
写真のカールハンセン&サンの代表のエリック・ハンセン氏とは社長室で3時間程お話をしました。どの販売店も差別しない、そして、カールハンセン&サンが作る家具を選ぶお客様一人一人を非常の大切にする繊細な感性をお持ちな人でした。
カールハンセン&サンの工場をあとにした私達は是非、皆様にこのこの工場で、そしてこの代表の指揮のもと作られる家具を皆様にちゃんとご紹介したいと強く思いました。
とてもいい工場見学でした。
創業期




世界大恐慌

この状況を救ったのが、アメリカのミシン製造メーカーの「シンガー」です。シンガーミシンのある特定のモデルのウッドケースの製造を任されたのです。
CH22、CH23、CH24、そしてCH25

CH24(Yチェア)の誕生





China Chairと大きく違う点は、Yチェアは食卓椅子としてデザインされている点です。テーブルと使って頂いた時にこの椅子の良さが分かります。強度があるにもかかわらず、テーブルに椅子を差し込んだ状態で、身体を座面に滑り込ませやすい、また座っている位置からテーブルに椅子を差した状態でも身体を立て、すり抜ける事ができます。
背面にある「Y」の形をした背板はその当時Wegnerがデザインしていたウィンザーチェアの名残です。また、座面のペーパーコードはシェーカーチェアに使われていた「ジュード」編の座面を応用しています。
様々なスタイルの椅子の要素がWegnerという媒体を通して、出来上がった最高傑作です。またお値段も他のWegnerの椅子と比べお安いのです。
今でも世界で一番販売数の多い、Wegnerデザインの椅子です。
Wegnerってどんな人?

ほんとは作るの大変だった

今の代表のクヌッド エリック ハンセンは当時皆が反対した理由をこう語ります。「Too modern」。「デザインがモダンすぎる」です。それまで、イギリスから伝わる伝統的なデザインを基調とした家具を製造していた工場の者からすると「見た事のないデザイン」であり、まずは「作れる訳ない」が本音で次には「そんなの売れる訳ない」と来たのだと思うと語ってくれました。実際に作るのは大変だったそうです。「CH24は機械加工を大いに取り入れ、簡単に作れ、工数を減らす事で安く済む」と今は語られていますが、最初はそんなこと全くなかっというこです。もともとモダンな家具を作った事のない製造ラインなのです。その製造ラインの立て直しから始まり、同時に働く職人の意識改革も同時におこなわなければいけなかったといいます。
みな生き生きしています。

こんな彼のもとで働く人は皆生き生きとしていました。エリック ハンセン氏。
すべてデンマーク国内で作っています。


生活者が最優先


家具製造時に使われる素材について、地球環境を犯すものはできるだけ排除する等、家具を製造する自らも地球の住人であるとの考え方のもと、真面目に家具製造に向き合っています。代表によるとほんとは「ラッカー仕上は廃止したい」とのことです。以前はラッカー仕上げ等、環境を犯す原因になる塗料を普通に使っていましたが、これからの時代は環境に悪い素材が使用されている家具というのは全く必要なくなると言っていました。

カールハンセン&サンが作るWegnerデザインの家具は当時と同じ手法と工程で作られるオリジナリティーを重視する方にはちょっと難しと思います。Wegnerがデザインする時に込めた作品への「生活者のため」という思いはそのままに、つねに進歩を続けるカールハンセン&サンが作る家具はとても未来志向の家具だと思います。過去をなぞりながら生きるのではなく、未来を創造しながら生きて行く皆様にはぴったりの家具ではないかと思います。こういった未来志向の会社が作るYチェアだららこそ、デザインされてから半世紀以上経った今でも世界で愛され続けているのだと思います。