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【商品説明】
世の中にはたーくさんの椅子があります。そんな椅子は古代エジプトと言われる時代(多分紀元前3000年頃くらいからキリストが生まれるくらいの約3000年間)に生まれとされてます。色々な写真で見る古代エジプトの時に作られた神殿には椅子に座った石像がいくつもあります。相当、好きだったんだと思います、あの時代の人達、椅子のことを。また、権威の象徴なんだったんだろうと思います。だって、インレイだったり、すごい彫刻だったり、なんかものすごい職人がものすごい時間かけて作ってる感じで一般庶民がそん椅子を使っていたと想像できない。
石像が座っている椅子、なんとなくすわり心地が悪そうなものばかりです。前脚、後脚、座枠、肘掛など、10から15パーツで出来てる感じ。またクッション性もなかったんだと思います。今のウレタンクッションが盛んなったのは第二次世界大戦後。確か作ったのはドイツの会社。恐らく戦争に使うためだったんじゃないかと思います。権威の象徴の椅子から座り心地の椅子へ。こんなダイナミズムを経て現代の椅子は存在しています。
西洋ではどんどん椅子が発展して行ったのですが、日本では全然。「売れないから」が一番大きな理由。売れなかった理由は多分、日本の「着物文化」。着物を着て椅子に座るのはちょっと。大きな理由は、特に大きな帯をした着物では、背に帯が当たってしまう。普段着物を着なくなったあたりから、椅子文化の波はどっと日本に押し寄せます。着物でなく、お父さんが毎日スーツ着て会社に行きだした時代、高度成長期。そんな時期と重なる1964年の東京オリンピック、あの時に日本に入ってきた西洋文化の大きさは計り知れなかったと思います。人を招き入れる応接間ができたのがまず最初。ソファセットが沢山売れました。まだ、2LDKの団地に多くの人が住んでいた時代、ダイニングセットをお買い求めになる数は相当限れていたに違いありません。食事時間になると、お母さんが「ご飯よ〜」と言って「飯台」を居間の真ん中にどんと置き、仕事で帰って来ないお父さんとは別にお母さん、そして子供達と夕飯を取る風景は僕ら50代の子供の頃の記憶としとばっちりと残っています。
豊かな時代の象徴として、一戸建政策が政府から推奨されるようになると、それまで山であったり丘であったり、田畑であったりした場所が宅地造成され、それまで高嶺の花だった一戸建てが政府推奨を受けた金融機関からの長期間融資のおかげで、私たちの一般の人にまで買えるようになった。一戸建てには立派なダイニングルームが作られました。ダイニングルーム用にと、私たちは家具店にダイニングセットを買いに走りました。1985年に「プラザ合意」が発布。それまでの円安だった頃と大きく変わり、円高と共に海外からの品物がどっと日本に入ってくることになります。それまではほんとにほんとに高嶺の花だった海外からの椅子ががんばれば買える時代になっていったのです。海外の品物が日本に入ってくるようになると、私たちの趣向は欧米に影響を受けるようになり、その影響を受けた私たちに合わせるように椅子のデザインも急速に欧米のデザインを取り入れるようなっていきます。前置きが相当長くなりました、今回ご紹介するのは、そんな私たちが椅子デザインの勉強をしようと思って必死で見ていたデンマーク人デザイナーの一人「Hans Olsen」(ハンス・オルセン)のデザインです。彼が活躍したのは1950年代、そして60年代。沢山の家具デザインを残しています。聞こえ方はいいか悪いか、色々な文献で出てくる彼のデザイン姿勢はこうです「売れないと意味がない」。1960年代の中盤まで威勢がよかった有名なデンマークインテリア雑誌「Mobilia」。Hans Olsenはこの雑誌に何度も革新的なデザイナーとしてフューチャーされています。Mobiliaはそれまで、木工技術を高めることが大切、或いは木工産業の育成といったことが家具業界のスタンダードであると説いていた多くの他の雑誌とは距離を取り、作る側に立った記事ではなく、家具をデザインする人達、そして実際にデザインされたものを起点に編集を重ね、その手法は実際にその家具を消費者に紹介する人達(多くは建築設計家か設計事務所)を魅了し、Mobiliaで紹介された家具はよく売れるともてはやされました。
Hans Olsenの家具の多くはMobiliaで紹介され、その売り先はデンマーク、そして隣国のドイツを超え、アメリカへと伸びていくのです。Hans Olsenは実に沢山の家具(特に椅子)をデザインしています。特定の家具メーカーではなく、沢山の家具メーカーへとデザインを提供しています。それだけ、彼のデザインの需要は高かったのではないかと思います。よく選ばれた椅子。つまり、いい椅子だったんだと思います。そうでないと、有名雑誌に紹介されたというだけでは売れない。そそう思います。
この椅子、不思議な形をしています。NHKの有名子供番組「みいつけた!」に出てくる「コッシー」に似てる。アームがあったりなかたっり、形は実際には似ていません。でも、佇まいが似てる。コッシーってやっぱりすごいのは、椅子なのに「動く」そして「喋る」、漫画みたいなキャラクターなのに、人間みたい。この「人みたいな佇まい」が似てるのです。あり得なのですが、この椅子、背もたれが顔でその横から手が出てる感じ。人です。少しコミカルな風貌です。でも座ってみたら、わかります。「こいつは椅子だ」と。もちろんです。いや「いい椅子だ」思うと思います。いい感じの高さの背もたれ、そして座面のクッション性、高さ床から69cmのところにあるアームに肘を乗せて新聞を読んでみたり。いい感じなのです。アームに手のひらを乗せてよっこいしょと立ち上がるのも楽。ただ、このチーク材のアームなんとなく頼りなさそう。でも、もう50年以上もそうして使われて来た訳ですので、そういった使い方をして頂いても大丈夫なはず。
アームが背もたれを抑える桟で交わり、ぐるっと背もたれを一周しています。この姿、SFみたいです。宇宙船や土星の輪を思い出してしまいます。60年代、世界は宇宙の時代。バナー・パントンのように近未来を感じさせるデザインにしてみた可能性はありますよね。
さて張地。本革にしてみました。いつもならアニリン染のコーティングがほとんどされていない革本来の手触りを味わって頂けるものを使用するのですが、今回は別の、きっちりとコーティングがされている本革を使いました。それでも人工的な型押しはされておらず、雰囲気はアニリン染の本革です。本格的な雰囲気、でもお手入れは水拭きOK、そんな本革です。ホームセンターで販売している本革クリーナーが使える革です。お手入れはとても簡単。でも、本格的な見た目です。マットな輝きも高級感あふれています。
もちろんいつもの通りのフルレストア。土星の輪のような部分も含め全て分解しています。分解するなら誰でも出来るのですが、それを元どおりに再接着。これが難しい。いつもの丁寧なサンディングは木肌を撫ぜて、そして感じて下さい。すべすべです。がたつきは調整済み。使うオイルは地球、そして人想いな自然素材が存分に含まれたもの。あかちゃんが木部を舐めて口に入っても大丈夫。このHas Olsenデザインの椅子、是非ご検討ください。
サイズ | W545 x D590 x H750 mm(アーム高690mm) |
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デザイナー | Hans Olsen(ハンス・オルセン) |
買い付け場所 | デンマーク |
材 | チーク材 |
製造会社 | N A Jorgensens Mobelfabrik |
オリジナル/現行 | オリジナル |
張地 | 本革(ウレタン共に張替済) |
仕上げ | オイル仕上 |
送料
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