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【商品説明】
Illum Wikkelso(イルム・ヴィケルソー 1919 - 1999)がデザインした「カペラチェア」と名が付いた3人掛のソファ。チーク無垢材です。作ったのはデンマークのEilersen社(アイラーセン社)。1959年にデザインされ、1960年からアイラーセン社で製造が開始されています。僕の記憶ではつい最近まで、同型のソファをまだ作っていたと思います。ただ、最近はチーク材はなくオーク材のみの製造だったような記憶です。アイラーセン社は今でもソファで有名で、デンマークでは相当数の販売を誇っていると思います。現在の製造拠点は中国。いつから中国生産に切り替わったのかよく知りませんが、以前はずっとデンマーク国内で製造をしていました。ここで紹介しているカペラチェアはデンマーク製。現在のアイラーセン社のソファは日本でも大型家具店でお買い求め頂くことができます。
アイラーセン社、もともと馬車製造会社(オーデンセ)。1895年創業。ダイムラー・ベンツの前身のドイツのダイムラー社が自動車の製造販売を始めたのが1892年。時代背景的に、乗り物は馬から自動車に変っていく感じだったのだと思います、アイラーセン社が創業した頃。ただ、1895年の創業だから、隣のドイツで乗用車が発売され初めた1892年より遅い。ちょっと、馬車製造ではご飯を食べ続けるのは難しかったと思います。1907年にフォード社があの有名な「T型フォード」を量産し出します。アイラーセン社が創業してからたった12年しか経っていません。なんとなく、デンマークの経済が相当遅れていたのが読み取れます。デンマークでは恐らく、まだまだ特に田舎の方は自動車は走っていなかった。隣のドイツではどんどん街に車が走り出していたにもかかわらず、デンマークの中では「まだまだ、馬車だぜ!」っていう雰囲気だったに違いありません。そうじゃなきゃ、馬車製造会社なんて絶対に創業しない。また、創業の街「オーデンセ」っていうドイツとは離れた島にある街で創業したことも、ヨーロッパ情勢を少し読みきれていなかったのかしれません。
1933年にアドルフ・ヒトラーがドイツの首相となり、独裁が始まると1939年にはデンマークはドイツの占領下となります。苦しい時代であったのですが、実はデンマークの産業界の中ではドイツへの軍需である程度潤った人達もたくさんいたのは事実です。もちろんドイツに屈したくはない、でも食べていかなければいけないのも事実です。どの時点で製造を馬車から方向転換をしたのは分かりませんが、アイラーセン社は馬車に加えて車やバスのシート作りを始めます。ドイツへの輸出です。戦争が終わってからはヨーロッパ各地への輸出に広がります。
戦後、帰還兵、そして世界的な物資不足となり、世界各国はお金が足りないので、どんどん刷りました。インフレとなると同時に戦争技術を応用した技術革新で産業界はものすごい勢いで効率が上げていき、物資不足のところに大量の物資供給、紙幣がたくさんあるので、世界はものすごい好景気です。世界の人は働きまくりました。お給料もうなぎ上りです。
シート作りのノウハウを持って、好景気に沸く当時の家具業界に参入。そして、1950年代後半。デンマークではウェグナーやその他の有名デザイナーやメーカーらがしのぎを削っている状態。アイラーセン社、シート作りからの技術は高いものを持っていたに違いありません。ただ、デザインしてくれる人がいなかったんだろうと思います。そこで出会ったのがIllum Wikkelso。1941年に芸術工芸学校卒業。ウェグナーより3年後輩なだけ。デンマークモダン家具の教育を一心に受けた時代のデザイナーであったことは間違いありません。でも彼、それほど当時まだ名前を上げていなかった。
ソファの名前は「カペラ」。作った時はこの名前であったかどうかは不明ですが、この名前、アイラーセン社の意向がにじみ出てる。「カペラ」は星の名前。馭者座(ぎょしゃざ)の中の一番明るい星。ギリシャ神話の中の馭者、意味は「馬車を繰る人」。アイラーセン社の馬車作であった誇りが胸に刺さります。
創業当時、舗装されている道路なんてどこにもない。すべての道が悪路。道路の表面は石畳、あるいは土。馬車への要求で一番多かったのはそんな悪路でも「壊れないこと」、そして乗っている人の快適性だったはず。多分、座面になにかクッション的なものが仕込んであったんじゃないかと思うんです。でないと、お尻が痛くて「こらーっ!」てなっちゃう。こんなところは家具作りに十分に生かされたのだと思います。まずは「壊れちゃいけない」。このカペラチェアの細部は当時の職人が工房でそう呟きながら作っていたと想像させられる。十分に分厚いチーク材をふんだんにつかってる。アーム部分の繊細でありながら、無骨さを感じるあたりは、やっぱり「丈夫じゃないと」って感じがする。
これまで何度かこのカペラチェアを買い付けたことがあるのですが、この座面がコイルスプリングクッションのタイプは初めてです。長く使えそうで嬉しです。張地はデンマーク老舗椅子生地会社のDanish Art Weavingの「Royal」という生地へ張り替えました。ウール100%です。コペンハーゲンにあるヤコブセンがデザインした「SAS Royal」の「ヤコブセンスィート」と呼ばれる606号室でヤコブセンデザインの家具に張られているものと同じ生地。2トーンで仕上げました。気分で入れ替えて下さい。その張り替えた座面を支えるゴム製の「ウェーヴィングベルト」は新品へと交換。座面とウェーヴィングベルトの間にあるヘッシャンは同じものがなかなか手に入らないのでそのまま流用(クレーニングはしてます)。まだまだ使えますが、ところどころ破れがあります。画像でご確認下さい。
完全に分解し、パーツごとに丁寧に研磨はいつもの通り。仕上げはドイツ産の自然派木部オイル。普段のお手入れはご購入で一緒にお付けするオイルをお使い下さい。古いものですので、小さな打跡や傷はいつものヴィンテージ家具と同程度で気にならないと思います。このソファ、馬車のようにとは言えませんが、ガシガシ使って下さい。そういう意図があるのだと思います。是非ご検討下さい。
サイズ | W1890 x D790 x H790 x SH445 mm |
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デザイナー | Illum Wikkelso(イルム・ヴィケルソー) |
買い付け場所 | デンマーク |
材 | チーク材 |
製造会社 | Eilersen社(アイラーセン社) |
オリジナル/現行 | オリジナル(ヴィンテージ品、張替済) |
張地 | Danish Art Weaving「Royal」ウール100% |
送料
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在庫切れ
ご注文のタイミングによりましては、在庫切れの場合がございます。予めご了承下さいませ。
実際の商品との差異
このお品はヴィンテージ品となりますので、木部には当時の新品にはないような経年使用による小傷、カケ、色あせなどが必ずございます。この点御注文を頂く前に必ずご理解下さいませ。また、お客様のコンピューター環境によっては、色が違って見えることもございます。ウッドフレームに座面が取り付けられている食卓椅子、コイルスプリング、そして座面下にスプリングやウェービングテープを使用しているソファの場合、どの個体でも強弱の差はございますが、座った際に材がきしむ音が致します。これは不良ではなく、もともとの商品特性としてご理解下さいませ。十分に考慮した上でご検討下さいませ。
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