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【北欧家具】Hans J. Wegner 1953年デザイン GETAMA社 GE290 3シーター オーク材 デンマークDanish Art Weaving社ウール生地「Nuuk」張替済
GE290を作るのはデンマークで現存する木工会社「Getama」。もともとは創業者の住む近くのLimfjord(リムフィヨルド)にあった海藻を乾燥させ、それをベースにマットレスを作ったのが始まり。正直、「乾燥海藻だけでマットレス?」ってびっくり。そしてそれがものすごく売れ、工場を拡張し、マットレスを置くためのベット、そして他の家具を作るまでになったと言います。乾燥海藻入りのマットレス、ちょっと調べてみました。イメージしてたのは、乾燥海藻だけで作ったマットレス。私の浅はかな知識はGoogleの前ではなんの役にも立ちません。すごくいっぱい見つかるのです。乾燥海藻を他の色々な素材と組み合わせ、いい寝心地のマットレスが今でもどこかで販売されています。通気性がいい、へたりが少ない、コストパフォーマンスがいい、今なら環境に優しい。実はいことばかりのマットレス。でも、今はもうGetamaでは作っていない。そういったニーズはちょっと今ではニッチすぎるのでしょうか。乾燥海藻を使ったマットレスがヒットし、その後はコイルバネのマットレスに移行しています。市場の動きに敏感な会社なんだと思います。その証拠に家具製造に移行してからの動きは早い。Kold Christensen(コル・クリステンセン)がWegnerをプロモートしようと設立した販売会社「SALESCO」への家具提供会社の一つとなっています。Wegner自身は実直な職人さん。職人気質はどの世界でも一緒で「いいもの作れば、売れるのさ」が信条。その場合もありますが、多くの場合はそれでは売れないのが実社会。いいもの作ったら、そばにそれをちゃんと紹介する人がいないと、いいものでも人目に触れずゴミとなってしまう。
カール・ハンセンにWegnerを引き合わせたのはKold Christensen。彼の力なしに今のWegnerの名声はなかったはず。Wegnerのデザインに世間のウネリがやってくると感じたKold ChristensenはWegnerの家具をプロモートするための会社を設立し、ソリが合う家具製造会社に声掛けた。その一つがGetama。もしあの時、Getamaがウェグナーの家具を作っていなかったら、他のデンマークの家具メーカーと同じように今は過去の存在として扱われていたかもしれない。SALESCOを作った時はそれほどWegnerの家具は売れてなかったから、やっぱりこの会社は乾燥海藻のマットレスに取り組んだ時と同様に先見の目があるのだと思う。
Kold Christensenはポール・ケアホルムというもう一人の「巨匠」を見つけたのは1955年。もう彼はケアホルムにぞっこんです。そこでWegnerがKoldに「俺とあいつ、どちらを取るのさ?」とせまったら、Koldはあっさり「ポールさ」と言ってSALESCOを去り、ポール・ケアホルムとの関係はKoldがポール・ケアホルムがデザインした家具をプロモートする会社を畳む1982年まで続きました。
SALESCOの中でのゲタマに託された役割は「ルーズクッションを使うソファの製作」です。当初はWegnerがSALESCOに属する5社の中で一番最適と思う工房を指定してデザインをしていたのですが、その指定権限がSALESCO側に移り、徐々になんとなく「不公平じゃないのこれ」的な声が5社から聞こえるようになったのは大きな市場(アメリカ市場)での販促失敗があった時期と重なる。また、この時期は1960年後半。Wegnerがデザインする家具に対してインテリアの評論家から「平凡だ」と批判され始めた頃とも重なる。そして、SALESCOは消滅。Getamaは消滅する前にSALESCOから離脱しています。この辺りも先見の目が鋭い感じがします。
離脱する時、WegnerはGetamaにいい印象を持っておらず、「俺はあいつとは仕事しないよ」とSALESCOを去る時に言ったと言われています。でも、SALESCOが消滅したあと、あのデイベット(GE258とGE259)含む、学校や施設にある寮への家具提供でWegnerとゲタマのコラボレーションは大成功を収めています。一般大衆向けの家具ではなく、いわゆるコントラクトマーケットへとGetamaは駒を進めたのです。市場を読む目が鋭いことがここでも感じられます。
Wegnerが本来持つ一般大衆向けへの斬新な家具デザインに対する情熱は冷めず、彼のその気持ちを真に受け止めてくれた工房「PP Mobler」にWegnerはぞっこんになって行くのです。そしてGetamaとの協働はなくなってしまいました。
Getamaが現在作るのはWegnerが1970年以前にGetamaのために提供したものがほとんど。1970年以降も多くのデザインを提供しているのですが、そのほとんどは現在廃盤となっています。多くの家具メーカーがコントラクトマーケットに参入し始めた頃から、1950年代/1960年前半にWegnerがデザインした「Wegnerらしい家具」に徐々にシフトしています。さすがGetama。SALESCOに属していたその他の工房、例えば「A.P. Stolen」や「Andreas Tuck」や「RY Mobler」は作るものに拘り過ぎて、市場の流動性に付いて行けず、倒産してしてしまいますが、Getamaは出来る事は固守しつつ、作るものを変え、そして市場を変え、現在でも元気に操業を続けています。
GE290は今でも作られるロングセラー。「ロング」になれたのも、Getamaが廃業しなかったから。いいものを作ったら、やっぱりそれを売る術を持たないといけないと思う。Getamaの家具、販売数は大手家具メーカーに遠く及ばないかもしれない、でも続けることの重要性をきっちりと心に止め、拘るのは作る「もの」じゃなく「出来る事」(技術であったり、売り方であったり)であると真に考え、そのことに柔軟性をもって実直に向き合うすごく硬いメーカーなんだと思って、Getamaのヴィンテージ品をデンマークで見つける度に感心しています。
今でも作り続けられていること、これは本物である証拠。新品だけでなく、そのヴィンテージ品がこうしてお手入れされることでもう一度市場に出回り、さらに長い年月多くの人に使われるデザインであるということは、「本物とは長い年月使われる普遍的なものである」と定義するなら、このGE290はまさにその本物の真ん中にいるものだと思う。
このソファの見た目は見た通り、素敵。間違いない。是非、アップしてある画像をじっくりとご覧下さい。腰を座面奥深くにしずめ、ゆったりとくつろぐタイプ。すぐに立ち上がらないで下さい。そこで質の高い時間を過ごすためのソファです。座ってすぐに立ち上がりたいのなら、残念ながらこの椅子はまったく適していません。座面と背面はスプリングタイプ。このスプリングタイプの座り心地について、賛否両論があるのはネット検索をすれば見つけられる事実。合う人、合わない人、どうしてそうなるのか、私も全く分かりません。硬くしっかりしたソファをお好みなら、絶対にこのスプリングタイプはダメ。スプリングをやめて、固めのウレタンクッションに替えて使った方がいいと思います(有料ですができます)。
今回の張替で使ったのはDanish Art Weavingの"Nuuk"という生地。実は別のデンマークの生地ブランドがずっと前から販売していたもので、あまり売れないので、そういった「古いものが得意」なDanish Art Weavingに「売るの手伝ってくれないか?」と声が掛かり「いいよ」と返事をしたものです。とてもいい糸のウール生地、価格もとても高い。家具メーカーが量産で使える価格帯じゃないのです。またストライプ生地、そのストライプの柄リピートが240cmもあって、取り都合がめちゃ悪い。量産型の生地ではないことは間違いありません。だから、そんなに売れないのです。売れないからと言って、そのデンマークの生地ブランドはこの生地を廃盤にしていません。理由はデンマークブランドとして、そしてデンマーク人としてデンマーク起源の伝統的な柄を提供し続けることへの誇りをこの生地は表しているからです。デンマーク領グリーンランドに伝わる伝統的な質感のウール、そして柄なのです。
私たちがこの生地から感じ取る雰囲気は「斬新でも優しい」。私たちが感じるこの感覚って、デンマークに古くからある「デンマークデザイン」からいつも感じる感覚なんです。この国に住む私達には決して真似のできない佇まいがあちらのものから感じられる。素敵すぎて、いつもくやしくなります。
普遍的デザインのど真ん中にあるソファにデンマーク伝統柄のウール生地。見事なコンビネーションだと思っています。
丁寧なお手入れはいつも通りです。かなり大きく分解しました。ほとんどの箇所、分解してます。部品毎にフルサンディング。組み上げ接着し、オーク材に最適と私達が考える「ワックス仕上」。座枠にあるスプリングはサビが進んでいたので、全て取り外し、錆び取り剤とブラシでごしごし。綺麗になりましたが、サビがなかったスプリングと色の差があります。耐久性の問題はまったくありません。そのスプリングの上に敷いてあるクロス。オリジナルのものをクリーニングして使用しています。シミがありますが、これ以上は綺麗になりません。シミから匂いもありません。ただ、見た目だけの問題ですが、クッションで隠れてしまう部分なので、問題ないかと思っています。もし気になるようでしたら、有料となりますが取り替えることもできます。
片方の後脚の先に綺麗にできなかっら打痕がいくつかあります。画像でじっくりご確認下さい。
サイズ | W1820 x D850 x H765 x SH440 mm |
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デザイナー | ハンス・J・ウェグナー |
買い付け場所 | デンマーク |
材 | オーク材 |
製造会社 | GETAMA |
オリジナル/現行 | オリジナル |
仕上げ | ワックス仕上 |
修復/張替 | 修復済。張替済(デンマークDanish Art Weaving社ウール生地「Nuuk」) |
送料
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実際の商品との差異
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