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【商品説明】
もうこのお仕事を20年近くしていますが、ずっとこの「GE290」は売れ続けています。売れ続けているということは、ずっと買い付けができているということです。数が限られた「中古家具」ですので、いつかなくなるはずですが、ずっとなくならないのです。家具は工場製品ですので、同じものが大量に作られ同じものが市場にはたくさんあります。それにしても、このGE290については、なくなることなんてないんじゃないかと思うほど、買い付けで必ず見つけることができます(ただ、仕入値は毎年上がっています)。
そしてこのGE290を見つける度に「いやこれ、日本だったら変だぞ」って思うんです。同じソファをどれだけ多くのデンマーク人が使っていたか。隣のおうちも、2軒隣のおうちも、GE290を使っていたんじゃないかと思う程です。日本製の同じソファがこれほどまでに中古市場で見つかることって、まーないんじゃないかと思うんです。あったとして、それって昭和30年代や40年代のもので、「いや?、これ今使えないよね」ってスタイルであり、そして壊れ具合なんだと思う。1953年にデザインさたものが、今なを中古市場で出回り、そしてそれが修理修復を施すと、また普通に使えちゃうって、ほんとにすごいことなんだと思うんです。日本製のものではまーない。
日本製のものではどうしてないんだろう? 以前に超有名な日本家具メーカーにお邪魔した時に言ってたことを思い出します。「うちはトレンドを作り出していません。なんとなく世間や市場が探している『あれ』を見つけ、その『あれ』を今のトレンドを見ながら作ってます」。私達の得意な「応用力」。基礎研究ではいつも欧米に負ける、その姿が家具作りにも反映されてる感じ。日本の家具製造技術は世界トップレベルです。木工用の工作機械やプログラミングを作らせたら世界一です。ものすごくいいものを作っています。でも、世界では昔から全然通用しない。悲しいかな、ほんと世界ではまるで通用してない。これから先も、世界で通用する家具、日本から出てくるとは、私個人では期待できていない。「時間が経てば、そのうちにさ 」ってことでもなさそうです。
私達が日本に住んでいるから、「やっぱり日本製の家具でずっと使えるものがいいよね」とは思いますが、ちょっと視点を変えて、今はグローバリゼーションの時代だから、国に関係なく国境を超えて、ずっと使えるものだったら、それを使っちゃえばいいと思うことも大切なんだと思う。ずっと使うことでものを大切に思う気持ちを次世代に伝えることだったり(つまり、そのものを作った人達の行為や時間を敬う大切な感覚を伝えること)、そしてそれが相手を信じ、思いやる気持ちに繋がり、地球の裏側のことにまで気を回せる大人達や子供達を育てることに役立ったりして、ほんとに気持ちいい。
この「長く使えるもの」ってやっぱり、お値段はそれ相応。これを「残念」だと思うか、「当たり前だよね」と思うか。デンマークに何度か旅をしていますが、この感覚、「いいものはお高いことあたり前だよね」、気持ちいいぐらいにすっと理解し合える人によく出会えます。私達は消費者であると同時に生産者でもあります。おうちに帰れば、消費者ですが。お仕事をしてる時はそれがサービスなのか、それともものなのか、違いはありますが、何かを作り出しているに違いありません。その私達が作り出すサービスやものが「こんなもの」ってすぐに飽きられたり、そしてすぐに捨てられたり、やっぱり嫌なものです。「長く使われろよ、お前」って、市場に出す時にはひと声掛けてやりたい。そして、それが、実際に長く使われているところを見たりしたら、もう泣けてきて仕方ないんだろう思う。生産者としてのプライドを諦めないで頂きたい。精魂込めて送り出したものにはやっぱり「魂」が宿るんだろうと思う。人は死にます。でも、その作ったものが私達の寿命よりも長いとしたら、体はないが、あの時の魂だけはそのものがある限り、この世で生き続ける。そしてその思いが別の人の人の思いに影響を及ぼし、さらにその人口が増えていけば、エクストリームですが、世界の端で毎日起こっている悲しい戦争も終わるかもしれない。こんな御伽噺をデンマークで話したりします。「そうだよねー、そうそう」ってご納得頂ける人によく出会えるのがあの国です。
日本製でずっと使えるもの、そしてずっと使いたいと思うものがあれば、嬉しい。でも、例えばこのGE290を超えるような、素敵な日本製のヴィンテージ品に出会ったことがない。今のところは世界的視野で、いいものを選びましょうか。いつの日か、いいヴィンテージのソファの裏を見たら「made in Japan」と書いてあるその日を夢見て。
GE290の良さは私よりも皆様の方がよくご存知かもしれません。スタイル、座り心地、これまで多くの人を魅了してきました。もちろん、一度は手に入れたもののその座り心地が合わないと手放す人がいるもの事実です。スタイルは申し分ない。座り心地が不安でしたら、是非一度必ずお座り頂いてからご検討下さい。これから先ずっと使い続けるお椅子です。「スタイルだけで」との理由はリスクが非常に高い。是非、ずっと使って下さい。そのための協力、惜しまず致します。
この GE290はお店の女性スタッフがお手入れをしています。もう何年もこの仕事をしてますから、作業する人によって仕上がり方が違うってこと、よく分かります。違うんですよね、ほんとに。この「分かる」感覚はもう何年もこの仕事に携わっているからだと思います。このソファの木部の艶感や質感、「女性らいしい」のです。仕事をしたのが力のある男性でないって、すぐにわかっちゃう。うちで仕事をする女性は、同じ仕事をする男性よりも力の面では劣ってます(例えば、その男性が1人で持てる家具、その女性では持てないといった意味で)。力がないなら、別の特性でカバーすればいい。研磨に例えると、1ストロークの削り、力がある男性の方が深いはずです。力がない人が同じ結果を出したいなら、ストローク数を増やす。結果、数を増やしたストローク数からの仕上げの方がきめ細やかな仕上げになることが多い。「力のある男性もそうすればいいじゃないか」。そんな必要はありません。どちらも、このお店が持つ基準を超えていればいいのです。つまり、個性の範疇なのです。このGE290、個性が出ていい仕上げになっています。
木の洗浄から始まり、収まりが悪いところは外し再接着。サンディングペーパーでの研磨は240番手から始め600番手まで機械を使わず素手で。オーク材は道管が深く、経年での汚れが溜まったり、酸化して変色した部分が深くて研磨だけでは取れないことが多い。そのお手入れのため、歯ブラシとか金タワシとかで道管を洗い、汚れを掻き出す作業はいつものこと。こうしてあげると、道管が綺麗に配列される環孔材であるオーク材はその本来の美しさを放ち出します。簡単に書けるこの工程、誰でもできます。ただ、サンディングする時の、そして汚れを掻き出すためのワンストロークの丁寧さは人それぞれ。そのワンストロークが重なりあい全体が完成する。全体の完成を急ぐのではなく、ワンストロークの丁寧さに賭ける。このお店はそういうお店です。完成させる数を追いかけ、売上に繋げたい。当たり前の感覚です。でも、丁寧にするとその経済の方程式通りにならない。でも「だらだらやる」は許さない。数を追いかけなくても潰れないお店になるのにいつも必死です。
座枠についてる鋼材バネ、少し錆びてましたから綺麗にしました。ただ、まだ少し残ってます。そして、また少し錆びてくると思います。でも、使用上は全然平気です。錆止めがされていない鋼材ですから、錆びるのは当たり前で想定内です。室内の使用環境で錆が進み、床に錆がぼろぼろ落ち汚くなり、鋼材が痩せ、あげくの果てには鋼材が切れて使えなくなる。こんは話は聞いたことがありません。鋼材が切れる理由はいつも「金属疲労」です。室内の使用で錆が直接の原因になることはまずない。鋼材バネの上の「ヘッシャンクロス」はクリーニングしました。破れもなく、見た目も衛生的でいい感じです。
クッションの中身(背も座も)は鋼材のスプリングバネのタイプです。オリジナルのものを流用しています。張替をする時にこのスプリングバネだけ取り出し、周りに巻き込んであるヘッシャンクロスや綿やウレタンを剥がし、新しいものに替えて元通りにします。スプリングは鋼材ですからこれまでの経年の使用で金属疲労が起こり切れている場合があります。そういったものはもちろん使いません。リサイクルに回し、新しいものに取り替えます。このGE290のスプリングバネには異常がなかったので、そのまま使っています。でも、心配ですよね、すでに40年以上は使われていたと思われる鋼材のスプリングバネの耐久性。難しい判断です。これまでの経験でのお話ですが、うちがこれまで販売して来たGE290に使われていたスプリングバネが使用途中で切れてしまったという事例は一度もありません。でも、それは「これからも起こらない」という証明にはならないとは誰でも分かることです。お届けしてから1年以内にバネが切れたりしたら、無償で交換します。ただ、切れるとしたらずっと先の話なんだと思います。その時は商品寿命と思って頂き、有償での交換をおすすめ致します。その時はお気軽にお尋ね下さい。ただ、相当先の話であることは間違いないと、経験上、思います。
生地はデンマークに唯一残る国内生産の椅子生地ブランド「ケアロップヴァヴェリ社」のもの。肌に触れる横糸はウール100%。縦糸はコットン100%。生地組成はウール85%、コットン15%となります。「ウールは他の繊維と比べ、だいたいいいよね」っていう感覚はほとんどの人が持っていると思います。それ、合ってます。「ウールは夏、暑いよね」っていう感覚。それは幻想です。是非、夏の涼しさをウールから感じ取ってください。ただ、2つ、「お値段が高い」「洗えない」っていう点では使う人に取ってはネガティブになるかもしれません。お値段が高いっていうのは、仕方がない。いいものだから、そして自然素材で生産される量が限られているから仕方がない。「洗えない」、そもそもソファの生地は洗わないものなのです。洗うくらいの気持ちでいつも水拭きをしてあげてください。コロコロで埃を取ってあげてください。洗ったと同じくらいの清潔感を保てるはずです。「どうしても許せない汚れが付いてしまった」、ありますよね。その場合はご相談下さい。まずはお店にある業務用の洗浄機(車のシートを洗う、洗浄液を出しながら、リンスして、同時に水分を吸い上げる、ものすごい大きな音が出るあの機械です)で洗ってみます。それでもダメなら、張替をおすすめ致します。共に有償です。
このケアロップヴァヴェリ社の椅子生地の名前は「Vejby(ヴァイビー)」と言います。デンマークのコペンハーゲンから北へ約50kmにいったところにある海岸の地名。ケアロップヴァヴェリ社はよくデンマークにある地名を生地名にします。デンマーク製という誇りなのでしょうか。
是非ご検討下さいませ。
サイズ | W750 x D830 x H740 x SH420 mm |
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デザイナー | ハンス・J・ウェグナー |
買い付け場所 | デンマーク |
材 | オーク材材 |
製造会社 | GETAMA |
オリジナル/現行 | オリジナル |
仕上げ | ワックス仕上 |
修復/張替 | 修復済。張替済(デンマークケアロップヴァヴェリ社製ウール生地 |
送料
送料無料の宅急便で送れるサイズを超えておりますので、別途送料を頂戴してクロネコヤマトらくらく家財便(搬入設置込)にてお届けをさせて頂きます。送料は例えば東京までですと、8,262円となります(カートにお進み頂きますと送料は自動計算されます)。ご注文からお届けまで10日程頂戴致します。ご指定日がございます場合はご注文日から10日以降のお日にちをご入力下さいませ(10日以内のご指定日の場合、ご希望通りにお届けができない場合がございます)。また、お届けの地域によりましてはお届け時間帯の指定ができない場合がございます。予めご了承くださいませ。
最短のお届けをご希望の場合はお届け日指定の欄は空欄のままでお願い致します。ご注文後、最短のお届け日をご案内させて頂きます。
在庫切れ
店頭でも販売をしております。ご注文のタイミングによりましては、在庫切れの場合がございます。予めご了承下さいませ。
実際の商品との差異
このお品はヴィンテージ品となりますので、修理修復後であっても当時の新品にはないような経年使用による小傷、色あせなどが必ずございます。この点御注文を頂く前に必ずご理解下さいませ。また、お客様のコンピューター環境によっては、色が違って見えることもございます。十分に考慮した上でご検討下さいませ。
キャンセル不可
お客様都合のご注文のキャンセルは不可となっております。商品はご希望によりご注文から6ヶ月の間は当店で無償で保管をさせて頂きます。長期保管の場合は、ご注文の際にお聞かせ下さいませ。
商品確認
商品が到着してすぐに商品の確認をお願いします。商品到着後日のご連絡の場合、ご対応をお断りする場合がございますこと予めご了承下さいませ。
不良や不具合
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