CH22。2016年に復刻。ウェグナーがカールハンセン&サンのためにデザインした最初のシリーズのうちの一つ（1949年）。ヴィンテージ市場で高騰を続けるこのモデルの待望の復刻です。製造するのはあの時と変わらずデンマーク国内のカールハンセン＆サン工房職人たち。

戦前に技術開発により革新的な家具を発表していた隣国のドイツ。バウハウスです。戦禍で解体されてしまいますが、影響を受けたデザイナーは世界中に数多。ウェグナーもその1人。彼が注目したのはあの「カンチレバー構造」（片持ち梁）。その構造理論ではなく、それまで普遍的に使われていた鉄をパイプ状にし曲げ、そして強度を高める。またその完成したフォルムが美しい。彼は「素材の応用」の素晴らしさをカンチレバー構造を持つ椅子を見た時に思い知ったのです。

彼が得意とする素材は木。削り出し、或いは曲げることで様々な形へと変化させることができます。ただ、その木を薄くスライスし積層させ、無垢材とは比べものにならない程の自由度で曲げ、椅子を作ることについて彼はまだ大成していなかった。バウハウスで見た鉄の「素材の応用」は、木に対しても家具業界に並々ならぬインパクトを与えるだろうと彼は分かっていたのです。彼は、その積層合板を使った家具をデザインしたくてうずうずしていたに違いありません。

すでにデンマーク以外の国々ではその木の素材の応用から作られる積層合板で大成し始めるデザイナーが現れていました。フィンランドのアルヴァ・アアルト、そしてアメリカのチャールズ/レイ・イームズ。アアルトが1930年代に手がけた建築プロジェクト「パミリオ・サナトリュウム」（結核保養所）。そのサナトリュウムに納品した家具類のほとんどは積層合板から作られた家具。デザイン業界に衝撃は走ります。積層合板の家具が無垢材の家具と同等に扱われ始めた最初のプロジェクトと言っても過言ではないかもしれません。

そしてアメリカのチャールズ/レイ・イームズは戦時中にデザインした負傷兵士のための「添え木」を元に、新しいタイプの家具を発表し、高い評価を得ていました。

積層合板を使った家具が世界で脚光を浴び始めていること、デンマークにいたウェグナーはもちろん熟知していたはずです。ですが、残念なことに「家具はクラフトマンシップによって無垢材から作り出されるべきである」というデンマークの古風な考え方があり、積層合板の家具を作るための機械への設備投資を躊躇する家具メーカーばかりで、ウェグナーの思いは全く実現されないままでした。

当時ウェグナーが最も多くの時間を過ごした工房「ヨハネス・ハンセン」。その思い入れ深い工房でさえ積層合板から作る曲げ木の椅子について全く興味を示していませんでした。ですが、ウェグナーはこの時期、何枚も曲げ木技術を使ったデザイン画を書いています。ウェグナーの気持ちを汲み取ったヨハネス・ハンセンはウェグナーがデザインした「曲げ木家具」を作ることしました。ですが、設備が整っていない工房では、その椅子は量産するには高額になりすぎ、販売をするに至らなかった。またそのデザインが斬新すぎたため、誰も興味を示しませんでした。

こんな最中、カールハンセン＆サンから機械加工で量産できる家具デザインの依頼が舞い込んで来たのです。1949年のことです。数日間カールハンセン＆サンの事務所にこもり完成したデザインは「CH22、CH23、CH24、CH25、CH26」の5デザイン。

この5デザインのうち、4デザイン（CH22、CH23、CH24、CH26）に積層合板の曲げ木技術が使われています。この時期、ウェグナーが曲げ木に対して並々ならぬ興味があったことが分かります。

CH24（Yチェア）には一見曲げ木が使われていないように見えますが、Yの形をした背もたれにある部品、2枚の板を重ね合わせ、曲げ加工で作られています。

曲げ木加工の材料を家具に入れることにより、無垢材の加工よりも大量にそして安価に作ることができること、ウェグナーは分かっていました。ただ、それも「曲げ加工のできる機械があってこそ」という前提条件です。それまで、曲げ加工の家具を量産したことのなかったカールハンセン＆サンの工房は大変です。

ペーパーコードを使用したり、有機的な3次元の研削技術を必要としたりと、それまでカールハンセン＆サンがしたことがなかった技術を使うことへの工員から反発は相当なもです。ですが、当時の社長、カールハンセンは「これがこの会社の将来だ！」と英断を下し、ウェグナーデザインに社運を託し、苦労しながらも製造を続けたのです。そして成功し、現在のカールハンセン＆サンがあります。

積層合板を2次元に曲げた背もたれは、当時は無垢材が主流であったデンマーク市場には斬新なアイディアでした。

ウェグナーがデザインした椅子の中でもこのCH22だけは牧歌的な雰囲気が漂っています。それは、アームの形状、それとそのアームを支える支柱の形状にあると言われています。ただ単に牧歌的なだけでなく、ジョイント部分は材に厚みをもたせ仕口強度を考えながらデザインしているところはさすがウェグナーです。

材の収まりの部分はどうしても葛藤が生まれます。デザイン面、そして強度面、共に妥協せずにきっちりとした収まりになっているのは他のウェグナーデザインの椅子同様、このCH22も同じです。

私たちにはあまり馴染の薄い「ペーパーコード」の座面ですが、使ってみるとその快適さは予想を遥かに超えています。適度なしなり、そして長時間座っても蒸れない紙素材はリサイクル可能で持続可能な地球環境作りにも寄与しています。張りは、カールハンセン＆サン工場内の熟練職人によって1張り1張り丁寧に仕上げてられています。使用頻度にもよりますが、10年から15年程はお使い頂けると思います。張り替えが必要な場合は当店にお気軽にお声がけ下さいませ。

CH22のようなラウンジチェアは安楽椅子としてCH24のようなダイニングチェアよりも長時間座ることを想定してデザインされています。大きな違いは座面の広さです。人は長い時間同じ姿勢を保つことは不可能です。そのため、自然と何度も何度も姿勢を変えて座ります。姿勢を変えるにあたりCH24のような座面幅49cmでは狭すぎて、自由な姿勢変更ができません。この点CH22は座面幅が60cmと姿勢変更をすることが全く苦にならないサイズ感となっています。

CH24のように前脚が座面に突き出ているデザインでなく、CH22の前脚は座面下に収まっているので、姿勢移動の際に臀部の障害になるものは座面にありません。色々な姿勢でお座り頂くことができます。姿勢変更の際に背中をホールドできるだけの面積が背もたれにありますので、どの姿勢でも快適にお座り頂くことができます。

CH22はこの佇まいに良さがあります。

CH24等をお使いのダイニングの横にあるリビングで、このCH22を一脚、ポンと置くことで上質なインテリアの演出ができます。

商品詳細

サイズ感

椅子のサイズは数字表示。実際に座った時、その数字が視覚的にどのようなサイズ感になるのかご確認下さい。
また、肘に手を掛けた時、そうでない時のサイズ感もご覧ください。

【身長160cm】

仕様

選べる材は「オーク材」、或いは「ウォールナット材」。そして「オーク材」と「ウォールナット材」のコンビネーション。加えて、ブラック塗装の仕様も用意されています。それぞの仕様にナチュラルペーパーコード、或いはブラックペーパーコードをお選び頂けます。

オーク材

ウォールナット材

オーク材／ウォールナット材コンビネーション

ブラック塗装

納期

国内在庫にCH22はなく、CH22のどの仕様も全てデンマーク現地への発注となります。そのため、納期は早くても5ヶ月程、製造現場、そして海上輸送の都合でそれ以上にお待ち頂くこともございます。ご注文後にメーカーに発注をかけ、メーカーからやって来るおおよその納期をお知らせ致します。申し訳ございませんが、お知らせする納期が予想よりも先であったとしても、一度頂いたご注文は一切キャンセルをして頂くことができません。また、お知らせする納期は「おおよそ」となり、実際にはさらに納期が遅れる場合がございます。ご注文の際はこの納期についてご了承の上、お進み頂きますよう何卒よろしくお願い致します。

価格

※税込価格

※税込価格

価格体系

ご希望の材、仕上、そしてペーパーコードのお色によって価格が変わってまいります。

このページの表示価格は「オーク材ソープ仕上ナチュラルペーパーコード」の税込410,300円となっております。ご注文の際にお選び頂くオプションにより価格が変わってまいります。仕様別の価格はページ内にございます価格表にてお確かめ下さい。

ペーパーコード張り替え

ペーパーコードの椅子を初めて購入される方はやはり気になります。使われ方にもよりますが、一般的に使われるウレタン素材よりも長持ちします。最初は撥水加工がされていますので、汚れはそれほど目立ちませんが、やはり時間が経つにつれて、汚れが目立ってくると思います。私どもはこの汚れ等を「生活の歴史」と捉えております。丁寧に家具を使うことはもちろん必要なことですが、それがために自由な日常生活が制限されるなんてあまり面白くありません。丁寧に使って頂くことは前提として、お好きな椅子は自由に使って頂きたいと思っています。

それでも、大きなそして濃い汚れが沢山ついてしまったり、長年愛用頂いて網の目が緩みすぎて座り心地に大きな支障ででてくるようになったら、張替は必要になるかと思います。

カールハンセン＆サンの保守部門がちゃんと日本には準備されています。本社できっちりとトレーニングを受けた者が張り直しを致します。張り直しをする場合、かなり「ギユッ」と椅子を締め付けますので、椅子のジョイント部分が緩んでいたりすると張れません。そのため、ペーパーコードの張り直しの際には椅子の総点検をしてから取りかかります。総点検をしてNGの場所は修復されます。ペーパーコードの張り直しはいわば「お椅子のオーバーホール」とお考え下さい。費用は30,000円程です。お買い求め頂いてから張り替えまでの期間ですが、個人のご使用方法、そして個人の許容範囲が異なりますので一概に申し上げるのは難しいですが、一般的には10年から15年程かと思います。

保証

構造体（強度、構造体にかかわる破損）：5年
外装、表面の仕上　（塗装及び樹脂部品の変色、退色）：1年

上記保証は初期不良（お届けして1日以内に出る不良）を除きまして、基本的には商品の往復送料はお客様のご負担となります。ですが、不良箇所の詳細をお聞きかさせて頂き、初期不良に準ずる場合は私共の負担で全て保証させて頂きます。

以下の原因などにより不具合は保証対象外となりますのでお気を付け下さいませ。

お届け方法

搬入設置込みの便でのお届けとなります（送料無料）。お届け地域によりましては着時間帯指定ができない場合がございます。予めご了承下さいませ。

お支払い方法

代引でのお支払いができない商品となっております。お支払いは事前のお振込、或はクレジットカードでのお支払いで何卒よろしくお願い申し上げます。

クレジットカードでのお支払いをご選択頂いた場合、御注文確定後に、カード決済ページのご案内をさせて頂きます。

返品・返金

お客様都合のご返品、ご返金は承っておりません。発送させて頂くお品は全て検品させて頂いております。不自然な打痕やがたつきがあるお品ついては事前にメーカーと連絡を取りながらお客様にお届けする前に未然に防いでおります。運送途中の事故などで発生します不具合につきましては、交換にてご対応をさせて頂きますが、商品の調達にお時間を要する場合がございます。予めご了承下さいませ。

御注文前に必ずお読み下さい

1. 本製品は天然木を使用しているため商品により一点一点の木目・質が異なります。持ち味としてご理解下さい。
2. ご利用のモニターの設定により、色・素材の見え方などが実際の商品と多少異なる場合がございます。
3. ペーパーコードの座面にお座り頂く際には紙と紙が擦れる「ギュッ」という小さな音が鳴ります。
4. 本来の用途以外では使用をしないでください。
5. 上記を理由とする返品・交換はお受けできません。
6. お使いの前には、必ず商品に付属しております、商品説明書をご一読下さい。
7. ご注文が確定した商品については事前のお約束がない限りキャンセルをして頂く事ができません。予めご了承下さいませ。